第6話

「リルベルド・ディーマス」

 帝都の門の近く。今回は(今回も)同行しないクロゥ爺さんが、また俺をフルネームで呼ぶ。

「……自分で始末をつけろ」


 ……はぁ。俺は嘆息し(今日で何度目になるか)、得物を取った。

 愛用の槍だ。少々ハルヴァードに似ている。中間ってとこか。


「おい、ドルメットの手先か皇帝の部下だか知らねぇが、こそこそ付いてくるのはやめてくれ。

 ……何なら、力づくでお引取り願うぜ」


 俺の声に、ぞろぞろと現れる正規兵。

 ……やばいな。ここで正規兵とやりあえば、こっちが悪者だ。何しろここは帝都と外を繋ぐ門。それなりに栄えている。……とは言っても、一番みすぼらしい門だけどな。


「……先ずは頼む。帰ってくれ」

 兵士たちが抜いた剣が、答えだった。

 ……仕方ないか。殺さなきゃいいだろう。


「お待ちなさい!」


 毅然と言い放ったのは、リーリア。


「帰ってドルメット将軍に伝えなさい! 貴方の助けは必要ないと!」

 動揺する兵士たち。


「私の言うことが、聞けないのですか?」

 可能な限り、声を低くして言う彼女。……けっこう、ドスが利いている。

 一人、また一人と兵士は去って行った。


「……では、またな。ユーフィリアの忘れ形見よ」

 門から出て行く俺たちを、クロゥがそんな言葉で見送った。



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