第12話

何度聞かれても、私も夏輝も何度でも付き合ってないと言うだろう


そう言うしかない理由が―――私たちにはあるから





『夏輝、おはよう』



私以外で“夏輝”と呼びすてにする唯一の人




「……未紗」


夏輝が溜め息交じりに彼女の名前を呼ぶ


『おはよう、相馬さん』


夏輝に向ける微笑みをそのまま私にも向ける彼女



「……おはよう、立花さん。――夏輝、先に行ってるね」


繋いでいた手を離すと同時に走り出す


「陽南!!」


後ろから夏輝が私の名前を叫ぶ声が聞こえてきても


決して振り向かない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る