第322話

コウキとナナミのことを知ったとき、あたしは自分がいつか傷つくと、こうなるとわかっていて、


それでもコウキのそばにいることを選んだんだから。


タクミを責めることはできなかった。



「マナ…ごめん…な」


顔を上げたタクミの表情は歪んでいて、その瞳は哀しく揺れていた。


「いいの…もう」


事実はなにも変わらない。


ナナミが好きなのはコウキで、コウキが好きなのはいまでもきっとナナミだけ。


邪魔者は…あたしなんだよ。

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