第320話

タクミの左手が背中を撫で、右手は頭を撫でている。


そうして、ギュッと抱きしめる腕に力を込めたタクミが、あたしの肩に顔を埋めたまま、掠れた声で、


「…っ…ごめんな、ごめん…マナ。俺が全部悪いんだよな…ごめん。

俺が余計なこと言わなきゃ……―――俺がナナミと浮気なんかしなきゃ…マナがこんなに傷つくこともなかったんだよな…。

謝ったからって…許されるわけじゃないけど…ごめんっ」


そう言って、何度も何度も「ごめん」と繰り返した。

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