第315話
「ちょっ、おまっ、…――なに笑ってんだよ」
不貞腐れたような拗ねた表情になったタクミにおでこを指で弾かれた。
「…痛い…」
地味に痛くて、思わずタクミを睨んだら、
「……ようやく…泣き止んだな」
そう言いながらあたしの頬をそっと撫でた。
この手の温もりに、あたしはいま、救われている。
そんな気がした。
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