第301話

それでも肩が震えているであろうそんなあたしの背中に届いた声に、体がピクリと飛び上がった。


……会いたくなかった。


こんな、弱りきっている姿を見せたくなかった。


弱っているあたしの前になんて、現れてほしくなった。


「…マナ、お前…」



それなのに、そんなあたしの願いもむなしく、彼は背後から前に廻り、俯いているあたしの顔を覗き込もうとする。

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