第258話

……コウキは、こんなに簡単に彼女にプレゼントしちゃうのかな…。


もしかして…ナナミにも…?


また、胸の内をあの黒い感情が支配していく。


泥臭く、黒く、濁った、嫉妬という、とても嫌な感情。


「お待たせいたしました、お客様」


店員さんが指輪を再びあたしの前に置く。


照明に照らされてより一層輝くピンクダイアモンドは純粋にとても綺麗で、それだけに今のあたしには決して似合わない色。



嬉しいはずなのに、心から喜べない。

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