第252話

そりゃそうだ。


あたしは口を塞がれた状態なんだもん。


驚くよ。


お店にいた他の人も、ちらちらとこっちを見ているし…。


なのに、コウキは至って冷静に


「出してもらえます?」


そう繰り返している。


「あ、は、はいっ。少々お待ちください」


ようやく我にかえったらしい。


店員さんは慌ててショーケースの中から指輪を取り出す。


すると、あたしの口を塞いでいたコウキの手が離れて、


だけど息つく暇もなくすぐに後ろから体ごとコウキの腕に抱きすくめられて、びっくりしすぎて、一瞬息が止まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る