第247話

店員さんから他の指輪の説明まで受けているコウキの名前を小さく呼んで、その制服の袖を引っ張る。


「どうした?」


不思議そうにショーケースからあたしに視線を戻して首を傾げるコウキに、


「…あのね、コウキ。あたし…いらない…から」


俯いてそう呟いた。


顔を見て断る勇気がなかった。


「は?……なんで。あ、もしかして、他に欲しいモノがあるとかか?だったら――」


店員さんがそばにいるからか、声のトーンを落としたコウキ。

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