第212話
「―――マナ?…行くぞ?」
少し強引に、だけど優しくあたしの手を掴んで歩き始めたコウキ。
その優しさに、視界が滲みそうになって、慌ててグッと唇を噛み締めて、前を歩く背の高いコウキをそっと見上げた。
男のくせに、細くて真っ直ぐに伸びた綺麗な背中をジッと見つめる。
そうして、その背にそっと心の中で呟く。
―――大好き。
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