第210話

「いや、そんなことは…ないけど」


コウキが鼻の頭をポリポリと掻きながら照れた表情でそう呟く。


そう。


手ぐらいは繋いだことはある。


だけど、それだけ。


それ以上……。


キスもその先も、あたしはコウキとしたことがない。


てっきり手が早いだろうと、勝手にそう思い込んで、最初のうちは少し警戒もした。

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