第104話

「家まで送る」


「は?」


「行くぞ」


「えっ?ちょっ…待っ…」


今度はあたしの手首を握ると、そのまま改札をくぐろうとしている。


家って、家?うち?


でも待って!あたしの記憶が正しければ確か…。


「ちょっと待って、コウキッ!いいよ、コウキの方が先に降りるんだから」



そう。記憶が正しければ、コウキが降りるのは一つ前の駅のはずだから。


わざわざ送ってもらうのはなんだか申し訳ない気がする。

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