第98話

あたしを見つめ、フッとその表情を緩めたコウキ。


「じゃあ…帰ろうか、マナ」


そう優しく囁く声に、あたしに向けた優しい表情に、あたしの胸がトクンと大きく音を立てた。


「う、うん」


なに意識してんの、あたしってば。


こんなの、コウキがわざとタクミに見せつけてるだけなんだよ。



そう何度も心の中の自分に言い聞かせながらも、


ドキドキが止まらなくなる。

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