第96話
それでも人には限界があるんだって知った。
ナナミとのことは、ただのキッカケにすぎなくて、あたしの心は、もう限界だったんだ。
「……帰ろう、コウキ」
あたしはコウキと繋いでいる手にギュッと力を込めた。
「…っマナ!」
叫ぶようにあたしの名前を呼ぶタクミの声を無視して、タクミや他のバスケ部員から視線を逸らすと、
「もう…帰りたい…」
隣に立つコウキにしか聞こえないような声で、あたしはそう呟いた。
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