第71話
気づけば泣きそうになってる自分がいる。
うまく伝えられなくて。
イラつくコウキの声が怖くて。
滲む視界に思わず俯いた。
「え、マナ?」
さっきまでとは違うコウキの柔い声色に、ホッとすると同時に、
なんであたしはこんなことくらいで泣きそうになってんのって思ってしまう。
誰かに気持ちをうまく伝えられないことは、今までだってよくあったはずなのに。
タクミにさえにも。
だけど、だからといって泣いたことなんかなかったのに。
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