第61話
「タクミと付き合ってたことか?」
「は?」
一瞬息を止めたんじゃないかってくらいにナナミが目を見開く。
そうしてコウキはチラッとあたしに目線だけ向けたあと、
「もう別れたんだから別に問題ねぇだろ。じゃあな」
それだけ言い放つと「えっ?」と呟いたきり呆然としているナナミを置きざりにしたまま、くるりと向きを変えて歩き出した。
当然だけど、あたしを連れて。
半分引き摺られるように。
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