第29話

「マナ。わかってると思うけど…」


「ん?」


最後に残しておいた大好きな唐揚げを口に放り込もうとしたところで、カレンが眉を八の字にしながらあたしを覗き込むと、


「本気になったらダメだよ?」


真剣な口調で言われたその言葉。


「え、」


一瞬戸惑った。


「甘いだけの楽な恋がしたいって言うんなら、確かにコウキはピッタリだとは思う」


「……うん」


口に入れる前だった唐揚げをもう一度お弁当箱に戻す。

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