第42話

机の上には滝川君から貰ったファイルがあって私はそれを閉じる。

図書室も施錠の時間と確認すると帰り支度を始める。私しかいない静かな教室に響く物音。


ガチャ。

そしてドアが開く音……、

え?音?


「……なにしてるのココで。」


その声に私は振り向く。

「滝川君……、」

「ココにいるってことは図書室の当番も知ってたんだよね?」

「あ……、」

まさか滝川君が教室に戻ってくるとは思わなかった。

「えと…、自己学習したくて。」

「ソレを作ったのは僕だよ、本人に聞けばいいんじゃないの?」

滝川君は私が持っているファイルを見ながら少しイラついた口調でそう言った。


私は何も言い返せなかった。

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