第419話
「ねーえ?夏輝?」
駅まであと数メートルのところで足を止めた陽南
「ん?何?」
「私ねー…好きな人ができたみたいなんだ…」
そう言って繋いでいた手を離す
その手に一気に冷たさが戻る
「――…は!?…す、好きな…人?」
「…うん」
俯き加減で頬に手を置いてほんのりと赤みを帯びたその頬を押さえている
せっかく…掴んだと思っていたその手は、またいとも簡単に離れてしまうのか
「…それ…誰…」
「あ、雨が降りだしちゃった。夏輝、傘は?」
「持って…ない…」
いや、今は傘なんかどうでもいい
雨が降りだしたことすら気づかなかった
ポンッと目の前に広がる鮮やかなオレンジ色
それが目に滲みて痛い
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