第34話

「陽南、帰ろう」


今日は部活はないはずだから陽南と一緒に帰れるはずだ


「あ、夏輝。ちょっと待って。日誌、先生に届けてくるから」


バタバタと教室を出ていく陽南の後ろ姿を見ながら


溜め息――…


窓に頭をもたげ、外を見る


中庭の向こうに見える東棟


1組が見える


あの教室に陽南の好きな男がいる


そう思うだけで…やりきれない気持ちになる


あと――…何度こんな想いを繰り返すんだろうか


―――…芹沢 透


アイツが陽南のことをどう思ってるかなんてわかんねー…

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