第80話

どうしてかは分からないけど、りなちゃんはタケル達の居場所を知って助けに行こうと自らその場所へ乗り込んだ


そう付け加えて椿くんは教えてくれる。



果てしなく、いらないオプションだった。



電話越しで、怒号と暴れ回る金属音や骨がぶつかり合う音が響いて聞こえてくる。



そんなBGMあまり聞きたくない、と思った。



そのBGMの空間に、りなちゃんがいるってことに、今すぐに駆け付けたい衝動に駆られた。



[りなちゃんは?無事なんだよね?]


無事だと、その一言がまずは欲しかった。


[…っ、あともう少しで片がつく。そしたら確認できる]


それは、らしくない言葉だった。


曖昧な言葉にして返す椿くんでさえ、まだりなちゃんの安否が確認できず、ダウトの連中を片付けているということ


[ひな、悪い。また連絡する]



片手での喧嘩はそろそろ限界だと言わんばかりに、急ぎ場やで通話は切れた。



神妙な顔つきで聞いていたあーちゃんも、


[これは予想外]


と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る