071.

第78話

ーside 陽向



どうして。



「どうして、りなちゃんが?!」


自分でもましてやこの場にいる誰かの為でもない病院のロビーど真ん中で俺の声が響き渡る。



朝方の受診で忙しい時間帯とか

待合いで混雑しているとか、

普段なら嫌だなぁーとか思う薬品の匂いも


どうだって良い。



どうして、こんなことになったのか



「藍ちゃん!!椿くん!」



俺の先輩で、それでいてチームのトップ2人に


気づけば、責めるように詰め寄っていた




恐ろしい程に整っている顔を、普段のポーカーフェイスを難しそうに少しだけ崩しているのを見れば、



"後悔"で溢れているのは、俺だって分かっている。





「…っ」



夜の乱闘で傷だらけになった手をぎゅうっと力強く握った。


こうでもしていないと、俺はこの2人を殴りそうだったからだ。

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