第33話

アタシ一人がただ高ぶっていただけなのかも。



「ごめんね、みおチャンが可愛かったから。」



アタシは首を振る。


そうだ、拓実君だってモテる。

キスなんて誰としたって同じ。

アタシなんて不特定多数の一人でしかない。



拓実君がチカとだぶり始める。


何も考えたくない……。

それよりもこの場からいなくなりたいと思った。




「みおチャン、なんか変な風に考えてない?」



拓実君はアタシの顔を覗き込む。



「大丈夫…ちゃんと分かってるから。」



「そうかな、じゃあ言ってみて?」



言えって?


アタシ一人が勘違いしてました、って?


好かれているんじゃないかって…。



とてもじゃないけど、そんな事言えない。

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