第51話

神社の脇にある石畳みの階段に差し掛かる。

登りながらゆっくり歩みを進めていると、カァーカァーとカラスの鳴き声が聞こえてきた。




「櫻井先生にそんな一面があったなんて、未だに信じられないんです…」



村雨先生はわたしの顔をじっと見つめている。



何故だろう。

村雨先生の柔らかな空気感がそうさせるのか。

心の底に思っている言葉達が、口から自然に溢れ出す。



「人って、怖いですよね。何を考えているのか分からないから…」


「それは当たり前のことだよ。人は皆、仮面を付けて生きている。誰にも見せない裏の顔を持っているからね」



村雨先生の言う通り。

わたしだって、誰にも言えない傷や寂しさがあるじゃないか。




「先生は?村雨先生にも裏の顔があるんですか?」



口に出してからはっとした。


いくら穏やかな先生でも、初対面の生徒にこんな事聞かれたらいい気はしないだろう。



「すみません!失礼な事を聞いてしまって!!世間知らずな高校生の発言だと思って聞き流して下さい」

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