第6話

………奇跡ってイイ意味でも悪い意味でも使えるものだって今分かった気がする。



「初めまして、今回S市の中等教育学校建設を担当させて頂きます宇川綺(あや)です。」




アタシは目の前にいる……若月歩生に深々と頭を下げた。



これは絶対柏木さんの手回しだ!


アタシは俯いたまま静止していた。



「……うがわ……、え?綺?」



げ。


アタシは頭を上げる。


「えと、今回若月さんには承諾して頂き感謝しております。クラージュ様にも快諾して頂いた事を……、」


そう言っているアタシの傍から彼は離れる。


「あの……若月、さん?」



「綺にさん付されるなんて変な感じなんだけど。」


そう言って彼は溜息をひとつついた。

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