第15話新しい武器

 三日経って、 茜の修理が終了の通知が来たので、 迎えに行くことにした。

 新作の腕の説明も聞かねばならないし。

 無機質な廊下ではいつも不安を仰ぐように感じる。


「シママキ隊長の入室を許可します」


 心の無い機械の声を後に部屋に入る。

 中では重機の音や、 ドリルの音が修理室を満たしていた。


「もっと早く来れなかったの?」

「これが最速ですよ」


 中に入ると茜が服を着ている最中だったが、 無くなっていたはずの腕を触る。

 感触は、 人間と変わならい感触に人工皮膚のすごさを感じる。


「手を伸ばして、 ガードと言えばシールドが出るはずよ」

「一回やってみてくれ」

「はい......ガード!」


 すると茜の手のひらからホログラムに似たシールドが展開される。

 水色でとても綺麗な円を描いていて、 茜一人多い隠れる大きさだ。


「そのシールドはアルファの筋力に耐えるように出来ているから使いようでは防御だけではないかもね」

「これ幅とか変えれますか?」

「あなたの思い描いた大きさができるけど、 コツがいるから鍛錬が必要よ」

「これで隊長を守れる......」


 茜はいつまでも自分が張ったシールドを眺めていた。


「調子が良ければ、 上から増幅の許可が下りるから報告お願いね」

「他のヌークは装備してないんですか?」

「装備させるのにも許可が必要だし、 何せ時間が掛かるし、 何か不具合で戦死したくないのね、 協力的なのはあんたと大槻くらいよ」

「それで、 この腕の必要性を上に報告して全部のヌークに装着したいんですね」

「そうよ!私の生きがいでもあるヌークの作成を認められるのよ!?まぁ鬼が捕まってからこの技術の信用ができたんだけど......」


 須藤さんは優秀な研究員兼修理士だ。

 何度も試作を重ねた技術を上は簡単には許可を下ろさない。

 これはシグナルの衰退を意味する。

 鬼退治に特化したシグナルが鬼の変化に追いついていないことを上は理解していない。

 誠局長もなぜ薬の件を公にしないのか、 理解ができないが、 こっちはこっちで動かせてもらう。


「任務遂行可能」


 そう言うと、 タブレットの機械的な音で「了解、 シママキ部隊の任務遂行を受理しました」

 これで何時でも任務のブザーがなるようになった。


「隊長、 話があります」

「ん?どうした?」

「不甲斐ない所をみせてしまい申し訳ございません」

「生きててくれたら俺的には万歳だよ」


 するとタブレットから緊急のブザーがなる。


 <「渋谷区に鬼出現、 至急向かうように」>


「タブレットのアップデートしたら喋るようになったんだ」

「この三日間で進化するんですね」

「お前の腕と同じだ」


 任務可能ボタンを押して、 「シママキ隊長の任務遂行を許可します」と無機質な女性が言う。

「四番隊 清水隊長が応援可能」との情報も付け加えられる。

 音声にしたからと言ってなにがどうこう変わるかは分からないが、 こちらも試作なのか。

 特型警備車に乗ると、 昌と未来が先に乗っていた。


「シグナルの電子化が進んできたね」

「そうですね~タブレットもなくなって、 空間ホログラムで操作する未来が見えます!未・来・だけに!」

「そうしたら楽だな」

「私ツッコミ待ちなんですけど~!」


 働きやすさの進化より鬼の生体調査に力を入れてほしいと内心思っている。

 早乙女さんや須藤さんはシグナルに大いに貢献しているのだ、 少しは報われて欲しいと願うのは身勝手な気持ちかも知れない。

 目的地に着き、 清水隊長が指揮を執っていた。

 この任務、 嫌な予感を察知する。


「お疲れ様です」

「シママキ隊長!お疲れ様です!」

「状況を聞きたい」

「鬼は五体で今、 警官の人に一般市民の避難誘導してもらい、 規制線を半径十メートルに張りました」

「了解、 俺はこれから鬼の討伐に入る、 出来ればアルファが出現した時、 援護を頼む」

「了解しました!」


 俺ら第七部隊が先陣切って、 鬼退治に向かう。

 鬼はまだアルファになっておらず、 すぐに終わる予定だった。

 嫌な予感とはよくあたるもので、 目の前には東雲が立っていた。


「やっぱりシママキ隊長とはよく会えますね」

「お前が鬼にしているのか?」

「単刀直入ですね……」

「俺は怒っているんだ、 早く答えろ」

「まだそこまでの認識なんですね」


 俺は腰にある新しい武器に手を伸ばす。

 バシンっと地面を叩くように新武器を出す。


「鞭ですか?」

「シグナルでは銃だけとは限らないぞ」

「進化しているのは分かりますが、 扱えなきゃ意味がないですよ」

「ほざけ!」


 東雲に向けて鞭を振るう。

 華麗に避けられるが、 後を追うように鞭を振るう。

 まるで蛇のようにうねり光る。


「隊長!」

「茜たちは鬼の討伐!」

「了解!」


 東雲は鞭を避けるだけで、 俺に近づくことが出来ずにいる。

 俺は東雲の腕を鞭で捕まえ、 動きを止める。


「意外と質の悪い武器ですね」

「誉め言葉として受け止めるよ」


 俺は、 思いっきり鞭を引いて摩擦と鞭の刃で腕を切断する。

 東雲は驚いているようで、 地面に落ちた腕をそのままに後退する。

 須藤さんに渡された鞭は持ち手以外全部、 刃で出来ており、 ヌークに使われている鋼鉄を摩擦を咥えれば切断することが出来る。


「綺麗に持っていかれてますね」


 切断面をジーっと見る東雲に焦りなどは見られない。

 初めて使う武器だが、 手応えを感じる。

 東雲はまっすぐこっちに向かって走ってくる。

 俺は刃の鞭を思いっきり振り、 東雲の足を狙う。

 この攻撃は交わされ、 すぐに大きく腕を後ろに鞭を引くと戻ってくる鞭に東雲の背中を引き裂いたが、 痛みを感じない為、 そのまま俺の胸へと蹴りを繰り出す。

 ガードしたが、 ビリビリと骨が痛む。

 そのまま回し蹴りを繰り出すのをバク転をして交わす。

 交わすと同時に鞭を回転させる。

 東雲の皮膚を傷つけていく。

 胴体を捕まえて、 そのまま鞭を引く。

 腕とは違い胴体は太いので力が足りず、 切断までいかなかった。


「お前!?」

「あーあ見られちゃった」


 お腹の上にある虹色に輝く石みたいなものは、 ヌークにしかない核が見える。


「シグナルを簡単に辞めると思いますか?」

「核はシグナルの独自の発明だぞ!?」

「それを模範して作ったんです」


 俺は怒りを感じ、 鞭を強く地面に打つ。


「隊長!援護に回ります!」

「また多勢に無勢ですか……」


 東雲の前にアルファ二体が上から現れる。

 また逃げるのかと鞭を東雲に向けて腕を振り下ろすが、 鬼の動きの方が早く東雲を逃がすためだけに盾となり、 東雲は俺らに背を向けて走って行った。


「アルファ二体ですか……」

「僕たちも援護します!」


 アルファはこちらに目もくれず高く飛び、 ビル伝いで逃走していく。

 俺らは追うことをせず、 任務完了と言えば、 タブレットが音声認識システムで聞き取り、 「任務完了を受理、 速やかにシグナルに戻るように」と無機質な声で言われる。




「帰ろう」




 そう言って東雲たちが逃げた先に目を配らして後にする。


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