過去

聖なる夜の歌

第89話

「聖歌の写真、コンテストに出しても良いかな?」


優也が私にそう頼んできたのは、私達が付き合い始めて、1ヶ月が経とうとしていたバレンタインの日だった


優也は、私が生まれて初めて作った手作りチョコを美味しそうに食べた後、その話をしてきた











「実はさ、ある写真のコンテストに写真を出せる事になったんだ。

で、そのコンテストってのがさ、本来は新人のカメラマンか、職業としてカメラマンのアシスタントをやってる人しか出せないコンテストで、学生なんかが出せるようなもんじゃないんだけどさ、木戸さんが、俺はよくやってくれてるからって、特別に自分の専属アシスタントって事にして、俺をそのコンテストに推薦してくれるって言ってくれたんだ。

そのコンテストは、プロの人とかも出てると思うし、もし、学生の俺が賞に入れたら、かなり注目されると思うし、一気に夢にも近付くチャンスだと思う」


「凄いじゃない!」


「うん、それでさ、色々、写真を撮ってたんだけどさ、どうしても、あの写真以上にピンとくる写真が撮れなかったんだ……」

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