第73話

「うわーんっ!」

「どうした?ゴリヨ!」

「パパ。ワンちゃんが、ワンちゃんが、ぐす、ひっく。」

「ワンちゃんがどうしたんだ?ゴリヨ。」

「人間から、虐待されてるの。」

「よし!今からパパとママと一緒に助けに行こう。」

「うん。ぐすっ。」

「ゴリヨ。泣くな。戦国武将だろう。」 

「うん!僕、戦国武将だもん!泣かない。」

「ワンちゃんは、どこ?」

「パパ、ママ!こっち!」

ゴリヨ達はワンちゃんの住む家へ行った。


ドンッ!

大きな音が響きわたる。

キャィーーーンッ。 

「今日も餌抜きだからな。」

一人の中年男は、飼っているペットの犬を毎日、虐待していた。

ゴリヨは、いてもたってもいられず、この世に姿を現した。

「ちょっちょっと。ゴリヨ!」

「歳子、ゴリヨに任せよう。あいつは動物の神だ。」


「君、大丈夫?」

「君は?」

「僕、ゴリラのゴリヨ。待っててね!僕が助けてあげるから。」

「本当?僕、怖いよ。」

「あんな奴、僕がやっつけてあげる。君を大切にしてくれる人間が待ってるよ。」


「おいっ!お前!よくもおらの仲間を虐待したな!」

中年男は、びっくりしている。それもそのはずだ。なんせ小さな白いゴリラがしゃべってんだから。 

ゴリヨは、もちまえのゴリラだけがもつ怪力で、中年男にパンチを食らわした。

中年男は、倒れてしまった。

その間にゴリヨはスマホを手に取って、動物愛護団体に電話した。

「ワンちゃんが中年男に虐待させられてる。助けてあげて。場所は...。」

「了解。今すぐ行きます。」

「もう大丈夫だよ。」

「ありがとう。君は神様?」

「違うよ。戦国武将だよ。パパに頼んどくね!いい新しい飼い主さんと出会えるように。もう、怖い思いしなくていいよ。悪い人間ばかりじゃないから!」

「本当にありがとう。」

「じゃあね!」

「あっ。」


「パパ。いい飼い主さんと出会わせてくれる?」

「もちろんだ。ゴリヨ。よくやった。さすがパパの息子、戦国武将だ!」

「へへっ。」

「本当、よくやったわね。ゴリヨ。偉い!」

「ママ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る