第329話冬の終わりの誕生日、21年目の春の始まりの誕生日



 あっという間に時間は過ぎた。

 宴をやったりしていると冬の終わりが近づいた。

 つまり──





「光、忍、楚良。お誕生日おめでとう」

「あい!」

「あー!」

「あいー!」


 元気よく返事をする三人に私は食事を提供する。

 食べても大丈夫なように細かくカットした料理を三人は美味しそうに食べている。


「美味しい?」

「「「おいし!」」」


 三人はご満悦のようだ。

 2歳になったこの子達。

 来年は3歳になる。

 きっとあっという間の出来事だろう。


 食事を食べ終えた三人は外に行きたがったので、ちゃんと暖房着を着せて、外へと連れて行く。

 アルトリウスさんたちが抱っこしてくれたから助かった。


 その日は、積もった雪が煌めく夜だった。


 子ども達は下りて遊びたがった。

 私は子ども達を広場に連れて行った。


「「「きゃー!」」」


 子ども達ははしゃいで雪で遊び始めた。

 音彩たちがそれを見守りつつ、一緒に遊んであげていた。


 そこへアシュトンさんが子どもたちを連れてやって来た。


「あれ、アシュトンさん?」

「はい、どうしました?」

「レベッカさんは?」

「他の御夫人方とお話をしたがっていたので、子どもたちと一緒に此処に来たのです」


「きゃー!」


 光が歓声を上げる。

 そして、走って行き、地面に下ろされたルカ君に抱きつきた。


「こ、こら、光!」


 リサさんの生まれ変わりとか、カインさんの生まれ変わりとか知ってるの多分私とクロウ位なんだから少しだけ大人しくしてほしかった。


「光様は、ルカの事をたいそう気に入っておられますね」

「は、ははは、そうですね」


「しゅきー!」

「しゅき!」


 幼いのにラブラブに見えるよ。

 アルトリウスさんはすごい複雑そうな表情してるけど、アシュトンさんは普通に笑っているよ。

 すげぇな。


 光はルカ君と遊びもといいちゃいちゃしていた。

 その光景に忍と楚良は首をかしげていた。

 だろうね。





 冬が終わりに近づくということは──


「シャルル、レスティ、ミレア、ルミア。帰る準備はできたのか?」

「はい、マリアお祖母様、できました」

「正妃さま、できました」

「できました!」

「できました-!」


「カナン、マリーローザ。リィナ嬢、クレス君、貴方達も帰る準備はできましたか?」

「「はい、お母様!」」

「はい、王太子妃様」

「勿論です、王太子妃様」


 マリア様と、イザベラ様が子ども達が帰る準備ができたか確認する。

 従者が使っていた部屋を見ていて、最終確認してOKが出た。


「では、帰るぞ」

「マリア様、次の夏。お待ちしております」

「いつも申し訳ないですね、愛し子様」


 マリア様は頭を下げた。


「イザベラ様も」

「ええ、ええ! 夏を楽しみにしてますわ!」


 皆馬車に乗り込み、村を立ち去って行った。

 白亜と琥珀に透過魔法を使って護衛をしてもらう。

 白亜はドミナス王国、琥珀はムーラン王国へ。


 無事送り届けてほしい。

 何事もないことが私の望み。

 そして無事に帰還したことを白亜と琥珀から聞いて安堵するのだ。





 それから数日後、冬の精霊と妖精は遠のき、春の精霊と妖精が飛び交い始めた。


『春ですよー』

『春です!』


 春が始まるということはつまり──





「晃、肇、音彩。15歳の誕生日おめでとう!」

「ありがとう、お母様」

「ありがとうございます、母さん」

「ありがとうございます、お母様!」


 皆嬉しそうだが、音彩が特ににっこにこ。


「音彩、どうしたの?」

「カイル兄様から指輪を貰ったの! 夜真珠と白金の指輪!」


 音彩はチェーンに通しているソレを見せる。


「指に入るの?」

「ええ、でも直ぐ入らなくなってしまうだろうから、こういう風にしたらいいんじゃないかってエルフのアクセサリー屋さんが教えてくれてたの」

「そうなの」

「ええ!」


 音彩は笑って言う。


「お母様を真似したって言ってたわ」

「私を?」

「結婚当初、指輪を三つネックレスの鎖に通していたからそれを思い出したんだって」

「……」


 確かに結婚当初そんなことをした記憶がある。

 まぁ、音彩が喜んでくれているならいいだろう。



「まぁ、話はそこまでとして、早くご馳走を食べましょう。冷めますよ」

「「「はい!」」」


 アインさんの言葉に、皆席に座る。


 クロウの手伝いもあり、ブラックサーペントのスープと唐揚げを作れた。

 それと、鶏の丸焼きとか色々と作った。

 サラダはゼリーサラダが好評なのでこういう時は作っている。


「「「「「「「いただきます!」」」」」」」


 手を合わせて、皆で食卓を囲む。

 美味しそうに頬張る子ども達、立派に育っているが、こんな時はあどけなさが残る。


「今日のケーキは特別よ」


 いつもの苺のケーキただし大きさはいつもより大きい、それを私の分だけ少なく切り他の六人に均等に分け、チョコのプレートをのせる。


「コズエ?」


 アルトリウスさんが困惑したように言う。


「貴方達だけお誕生日をお祝いしないのはちょっとアレだったわね、だから今日一緒にお祝いするの。本当は結婚記念日とかにすればよかったんだけど、子どもたちが初めてうまれた日が、特別なものだからね」


 確かに結婚記念日にしようか悩んだ。

 でも結婚記念日でもまだギクシャクしていた私の心が晴れやかになったのは最初の子たち──晃たちがうまれてからだ。


 だから、そうした。


「……ありがとう、コズエ」

「ありがとうございます、コズエ」

「感謝です、コズエ様……!」


 目を潤ませる三人。


「じゃあ、ケーキを食べましょう!」


 そう言って皆ケーキを食べ始める。

 さて、晃達をこんな風にお祝いできるのはあと何回なのかな?

 そんな事を思いながら私は家族を見つめた──





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