第11話

「にしても、兄貴が理由もなく殴るなんて、珍しくね?」



“俺でもねえのに”



獅子緒はそう言って、一歩前を歩いている俺にそう言った。



……理由もなく?




「それはお前だけだ。」



「いや、今さっきやってたじゃん。」



「理由はある。」



「え?あんの?俺らに関して、何も言ってなかったじゃん。」



基本、俺は喧嘩を売ってきた相手や獅子緒の悪口を言っている相手にしか喧嘩は仕掛けない。



……獅子緒はむしゃくしゃしていれば、誰にでも手を出すが。



今回はその二つではなかったので、獅子緒も何もない相手に喧嘩を仕掛けた風に見えたのだろう。



まあそう見えても、確かに仕方がない状況だった。



だが、それなりに理由はあった。





「……あいつ等が、貶した。」



「何をだよ?」



「金髪を。」



「はあ?」



それでも理由がよく分からないという顔をしている獅子緒に説明するのが面倒くさくなったので、それ以上口を開くのをやめた。

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