第25話

緊張が続く。間を空け、数秒経ったその時。






「今日はお兄ちゃんと一緒に寝よう」



「は?」



何を言ってるんだ、この男は。



まさかの発言にどうしてそんな考えに至ったのか、彼の頭の中を覗きたい。




って、いやいやいや!!!そうじゃないよ!!何を言ってるんだ、この気違いは!!!





「いえいえいえ!!ろ、ろ、乱さん!何言ってるんですか!?わ、私達、兄妹なんですよ!?」



「大丈夫だ。兄妹でも一緒に寝ることはある。お兄ちゃんは妹を守るように抱き締めて寝るってよく言うだろ」



言わねえよ!!!聞いたことすらねえよ!!



頑張って拒否した。拒否を続けたのだけど……














風呂にお互い入った後、何故か私のベッドで寝転ぶ乱さん。もちろん隣には私もいるよ。



「…………」



「スズのベッド、いい匂いするな」



え、変態なの?そういうこと言うのやめてもらえます?



だが、目の前に綺麗な顔があるだけで、心臓が高鳴る。



わ、私、イケメンには耐性がついていないというか、苦手というか、何で乱さんそんなに顔整ってるんですか!!お兄ちゃんなんてもっとブスでも何でもよかったのに!



私は急いで壁側に体ごと向き直し、今の私の変な顔を見られないようにガードする。



……こんな顔、目の前にあったら、心臓がいくつあっても足りないわよ。





が、そんな抵抗も空しく。










「スズ…」



「…っ!」



耳元で私の名前を呼ぶ声が聞こえたと思ったら、マジでこの男は私を後ろから抱き締めてきたのだ。まさかの行動に口から出かかった悲鳴を何とか抑え込む。



それだけでも褒めてほしいものだ。

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