頼りたくありません
第9話
轟高校の北校舎2階、1年4組の教室。
「斑目(マダラメ)、おはよう」
「風鈴ちゃん、おはよう」
既に教室に着いているクラスの人たちに声をかけられて挨拶だけはきちんと返すが、廊下側から2列目の4番目の席に座る。……そして、すぐに机に顔を突っ伏した。
あ、朝の出来事とか知りたい?というか、聞いてくれる?聞いてくれるよね?
昨夜、ベッドから起きて制服に着替えて朝の食事は自分で適当に作って一人で食べるというのを脳内で考えていた。だって、あの乱さんに会いたくはなかったから。朝からあの人に会うとか心臓に悪すぎるよね。そうだよね。
だからこそ目覚ましもきちんとかけて起きる気満々でベッドに入ったというのに―――…朝起きたら、びっくり仰天だ。
『スズ、朝だぞ』
『……っん…?』
『……これは俺にもっと刺激的な起こし方をしてほしいという合図なのだろうか?それとも、一緒に布団に入ってと誘われているんだろうか?』
何だか嫌な予感がして、急いで起き上がると目の前には乱さんがいて、心臓が口から飛び出してしまうかと思った。そしてあの怖すぎる真顔で『スズ、おはよう』と言われた。向こうはきっちり制服を着ていて、髪型も決まっているというのに、私はパジャマ。
ここは『ぎゃああああああ!!!』と叫んでいいはずなのに、声も出なくて私は呆然としたまま『お、おはようございます』なんて言ってしまった。いや、ここは『何で入ってくるのよおおお!!』とか抵抗していいはずなのに、何故できない私。……いや、怖いからだけど。
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