第2話

「いやあああああああ!!!」



―――…私の叫び声が部屋中に響き渡る。




「ど、どうした!?」



「ご……っ」



「ご?」



「ゴキブリが……!」



たくさんの物とゴミで溢れかえっている1つの部屋の中を掃除していた私の横を走る何かが通り過ぎた時、それが何かを認識して叫び声を上げてしまった。



私の苦手ランキングの五本指に入るくらい無理な生物だ。




「何だ、ゴキブリか。そんなのしょっちゅう見かけるぞ。今からそんなことでどうするんだ」



「猪田(いだ)さん!!こんなの聞いてないですよ!」



「じゃあ、あともよろしく」



「猪田さあああああん!!」




私の叫び声も虚しく、容赦なく閉められたドアに私はがっくりと肩を落とす。



……こんな仕事、引き受けるんじゃなかった。

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