第47話

沙耶  鶴田さん!おはようございます!


鶴田  おはよう。持ってきたぞ


沙耶  え!こんなに?!


鶴田  …社長は沙耶に過保護だな








社長の指示書に基づいて

鶴田とスタイリストが選んだ洋服は

最先端ながらに少しばかり色気を残す


それだけではなく私の好きなスタイルまで

完璧に調べてきたような内容だ







鶴田  ラックも投入するから座ってて


沙耶  あ、はい…











部屋には5本のラックがズラリと並ぶ

一人暮らしでは広すぎるその部屋に

これでもかというほどの素敵な洋服たちがならぶ

ハンガーに汗をかきながら掛けていくのを

座って見ているだけなんてそんなのは

元ホテルマンにとっては無理があった




沙耶  鶴田さん!私がやりますから!

    休憩してください!


鶴田  これはマネージャーの仕事だから。


沙耶  でも…


鶴田  俺はお客様じゃない。

    ドンと構えてればいい。

  

沙耶  そんな…しかもこれ全部でいくらに

    なります…?

    ホテルマンのお給料ふっとびます。


鶴田  バカだなぁ。会社持ちに決まってる

    だろう。


沙耶  ぜ、全部?私服なのに!?


鶴田  そうだ。

   







鶴田は彼女を静かにソファに座らせる

そして肩に手をかけた



鶴田  いいか。芸能界のギャラは別格だ。

    なぜだかわかるか?

    競争社会で必要とされるのは

    そのトップのみ。

    そのトップになる予定の沙耶は

    この洋服分の金額をCM1本で稼ぐ。

  

沙耶  そんなこと…ありえるのかな…


鶴田  有り得る。なんせあの西村社長が直

    接スカウトして振った唯一の女性な

    んだから。


沙耶  昔の話で…


鶴田  沙耶。自信を持て。


沙耶  自信…


鶴田  そのためにこの服たちがある。 

    キャラ作りでもなくこの洋服たちは

    沙耶に勇気を与えるものだよ。  

  












綺羅びやかな洋服、靴、バッグは

鶴田の手によって綺麗に並べられた





ガラス張りの白い部屋


ソファの他に

新たな彩りが加わった

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