第2話

沙耶は地元では神童と崇められていた。


その理由は度重なる東京の大手芸能プロダクションからのスカウトだった。



「うちの事務所にぜひ。いずれ東京の大学へ進学されるんでしょう?」


「うちなら、学業優先で育てられます。嫌な思いはさせませんので所属をしてもらえませんか?」



そのスカウトがあるたびに沙耶の母は彼らに温かいお茶を出す。



「すみません。沙耶はこの田舎で育てたいんです。のびのびと。私がいた芸能界はやらせる気がありませんので…どうぞお引取りを…」



沙耶の母は自分の歩んできた芸能界の厳しさを娘に知ってほしくないといった考えだったのだ。

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