第44話

無性に海斗の声が聞きたくなり、気付けば電話してた。


姉さんに、のぞみちゃんという、四才の女の子がいた事。僕や、その子を守るため、一樹さんのお父さんが手を尽くしてくれた事。

そして、のぞみちゃんを引き取りたいという、僕の決意。


海斗は、何も言わず、黙って聞いてくれた。


『ナオが決めた事なら、反対はしない。父さんたちには、俺から・・・ちょっと‼』


「海斗、どうしたの⁉何か、あった⁉」


『ナオくん』


この声の主は、おばさんだ。何か、ほっとする。


『元気そうね。おばさん、安心したわ。さっき、芳樹さんがわざわざみえられてね。のぞみちゃんの事、話してくれたの。でね、ナオくんが、成人になるまで、おばさんたちの里子として引き取ることにしたから。だからね、ちゃんと、一樹さんと話し合うのよ。子育ては、一人では出来ないからね』


「ありがとう、おばさん」


電話の向こう側が、なんか、賑やかだ。

海斗が、電話返せーー‼って、わめいてる。


『ナオか、元気か⁉』


今度は、おじさんだ。


「うん、お店手伝えなくてごめんね」


『いや、大丈夫だ。それより、ナオも、体に気を付けてな。こら、海斗‼』


『ナオは、俺の‼』


何か、楽しそう。


『ナオ、あのさぁ』


「息切れてるけど、大丈夫⁉」


『邪魔されたくないから、自分の部屋に向かってる』


バタンと、ドアが閉まる音。

ちゃんと、辿り着いたんだ。


『ナオ不足で、半分死んでる』


「なに、それ」


『言わなくても分かるだろ⁉ナオが欲しい・・・夜になると、今頃一樹とエッチしてるんだろうなって・・・いっぱい、焼きもち妬いてる』


「海斗ごめんね」


ただ、謝るしか出来なかった。

それから、一時間。延々と長電話してしまった。


『今度、テレフォンセックスしてみよう』


最後にそう言われ思わず携帯を落としそうになった。

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