第38話

「やっぱりいい」


「なんで⁉」


「絶対笑われるから」


「笑わないよ」


「本当に、笑わないでよ」念を押してから、ランチ代が、四千二百円した事と、カフェで、カフェオレと、シフォンケーキを注文したら、千五百円もして、吃驚した事を話した。


「あと、タクシー代も。ごめんね、三日分の食費、一日で使っちゃって」


明日から、節約しないと。

一樹さんが一生懸命働いたお金、無駄にしちゃった。

俯いて、彼の胸に顔を埋めた。

すると、彼の逞しい腕が、背中に回ってきて、優しく抱き締められた。


「なんか、メチャメチャ可愛いい」


「怒んないの⁉」


「その必要ないよ。付き合いは大切にしたらいい。それに、ナオが家庭をしっかり守ってくれるから、安心して、働く事が出来る」


「僕、一樹さんの役に立ってる⁉」


「あぁ、勿論」


「ありがとう、一樹さん」


僕も、彼の背中に手を伸ばした。


なんか、もう一つ忘れているような・・・。


「あっ‼お土産‼」


「お土産⁉」


「うん。一樹さんにお土産あるんだった。ちゃんと、自分のお小遣いから出したからね」


体を起こし、彼の膝から下りて、手を伸ばし紙袋を拾い上げた。


「はい、一樹さん‼」


笑顔で彼の前に差し出すと、「え⁉何⁉」かなり驚いてた。


「帰りに、真弓さんに、頼んでお店に寄って貰ったの。たいしたものじゃないよ。そんなに、高いものじゃないし」


袋から、綺麗にラッピングされた長方形の箱を取り出す一樹さん。

青色のおっきなリボンを付けて貰ったんだよ。


「開けてもいい⁉」


「うん‼」


ニコニコ、ソワソワしながら、包装紙を外していく彼。そんなに、慎重に空けなくてもいいのに。


「あっ、ネクタイだ」


青色のストライブの入った白のネクタイ。お揃いのネクタイピンも入ってるよ。


「ナオ、こういうのは、お土産じゃなくて、プレゼントっていった方が正しいかも」


「え⁉そうなの⁉」


「あぁ。そうだよ。ナオからの初めてのプレゼントすっごく、すっごく、嬉しいよ」


一樹さん、そう言うなり、ムギューと抱き付いてきた。

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