第3話
「
その昨年に彼の妃である
そして瑞歯別大王が亡くなると、当時皇子だった彼に、次の大王になる話が持ちかけられた。
だが彼はその話しを3度にわたって断ってしまう。それは自分には荷が重すぎると思ったからだ。
それに彼には異母兄弟の弟である
だが家臣や忍坂姫の必死の説得によって、彼は大王に即位する事を決めた。
「まさか、自分が大王になるとは思ってもみなかったよ。でも亡くなった兄達のためにも、自分が大和を引き継ぐしかないと思った。大草香皇子は自分よりも若かったからね」
彼の皇后の忍坂姫も横でそんな彼の話しを聞いていた。彼女もそんな彼に連れ添って27年になる。
「でも、あなたが
彼が大王になった当時、姓を偽る者が後を絶たなかった。
この時代に用いられていた
謝って自分の姓を失う者もいれば、故意に高い氏を詐称する者もいた。
そこで彼は、盟神探湯を行って氏姓を正しく定める事にした。
盟神探湯とは熱湯に手を入れる誓約の一種である。
偽る人は火傷を負うとされ、そうする事で偽る人に恐怖感を与えて、自白する効果があった。
こうして彼は、氏姓に偽りのないことを群臣に誓わせて、かつ誤った氏姓を正したのだ。
「あれは自身の氏姓を偽っていた者達を暴くのには、かなり都合が良かったからね」
雄朝津間大王は少し愉快そうにして言った。
それを当時見ていた忍坂姫は、この大王は何と言う荒業をするのだと本当に呆れていた。
「まぁ、氏姓を正せたから良かったものの。お願いですから、あんなやり方は二度とやらないで下さい」
大王になってもこんな変わったやり方をする彼は、本当に昔と変わらないと彼女は思った。
「まぁ、君と連れ添って27年にもなるけど、本当に色々あったね」
雄朝津間大王はしみじみとこの27年間の事を思い返した。
「でも、あなたも体調面にはくれぐれも気を付けて下さい。
雄朝津間大王も最近年齢のためか、少し体調を崩しやすくなっていた。
「あぁ、それは肝に免じるよ。あの二人の問題は本当にただ事ではないからね」
二人はそんな会話をしながら、自分達の子供の幸せを願うばかりだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます