第35話

「それだと、物部椋垣もののべのくらかきの家の部屋に勝手に潜入すると言う事か」


雄朝津間皇子おあさづまのおうじは流石にそれは難しいと言った感じだった。それでもし剣が無かったらどう言い訳すれば良いのか。


「でもこのままだったら、大王も物部伊莒弗もののべのいこふつに責任をとらせざるえなくなる。何だったら、私がその人の部屋に忍び込みます。

雄朝津間皇子、一生のお願いです。聞いてくれたら私皇子の言う事何でも聞きますから!」


忍坂姫おしさかのひめは必死の思いで、雄朝津間皇子に訴えた。


それを聞いた雄朝津間皇子は少し奇妙な笑みを浮かべて言った。


「へぇー、何でも俺の言う事聞いてくれるんだ」


それを聞いた忍坂姫は、ギクッとした。

自分はもしかしてとんでもない事を言ってしまったのだろうか。


「よし、分かった。そこまで君が言うんなら、協力するよ。確かに物部椋垣はかなり怪しいからね」


「本当ですか、雄朝津間皇子!」


(良かった。皇子に納得して貰えて)


忍坂姫がそう喜んでいると、急に雄朝津間皇子が忍坂姫の側にやって来て、そして彼女の顔を見て言った。


「そのかわり、何でも言う事聞くってのは絶対だからね」


(やばい、どうしよう!!)


「えぇ~と、私で出来る事なら……」


それを聞いた雄朝津間皇子はとても満足そうにして言った。


「じゃあ、明日さっそく物部椋垣の所に行くとしよう」


こうして、翌日2人は物部椋垣の元に向かう事になった。

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