第20話
翌朝、朝の朝食も終わり、いよいよ
(やばい、何か凄い緊張してきたわ)
忍坂姫は柄にもなく凄く心臓をドキドキさせていた。
そんな彼女を見た衣奈津は小さな声でそっと声をかけた。
「姫様、どうか落ち着いて下さい。私もそばにいるので大丈夫ですから」
(そうは言っても、やっぱりドキドキが止まらない)
忍坂姫が心の中でそんな風に思っている丁度その時だった。
ふと何人かの足音が聞こえて来た。どうやらこの部屋に向かっているようだ。
そしてついにこの部屋に雄朝津間皇子とその家臣数名がやって来た。
忍坂姫は緊張の余り、皇子が部屋に入って来ても、中々顔を向ける事が出来ないでいた。
そして皇子が自分の前に来てドシッと座った。
皇子が座ったの確認すると、彼女は自分の名前を名乗った。
「この度は、雄朝津間皇子との婚約の為に参らせて頂きました。私は
それを聞いた雄朝津間皇子は彼女に答えた。
「とりあえず顔を上げてくれる」
皇子にそう言われたので、忍坂姫は恐る恐る顔を上げた。
するとそこには1人の青年が自分を見ていて、そしてある事に気が付いた。
(え、この人?)
「あれ、君は昨日の」
皇子の方も忍坂姫の顔を見てとても驚いている感じだった。
また忍坂姫も、ここにきてこの青年が誰なのかをやっと理解する事が出来た。
「あなた様は、昨日盗賊から助けて下さった……」
昨日、忍坂姫達が盗賊に襲われかけた際に助けてくれたあの青年が、何と雄朝津間皇子本人だったのだ。
それを知った忍坂姫は、余りの事にその場で動けなくなった。
(こんな事ってあるの?)
忍坂姫が動けなくなったのを見て、彼は思わずその場で笑いだした。
「あはは、まさか昨日盗賊に襲われかけていた君が忍坂姫だったとは。これは驚いたよ」
雄朝津間皇子は余りの事に暫く笑いが止まらなくなった。
忍坂姫はそんな皇子を見て、恥ずかしいやら、悔しいやらで何とも複雑な心境だった。
そしてそれから暫くした後、彼はやっと笑いが収まったらしく、彼女に話しかけた。
「いや、本当にごめん。別に悪気はないんだけど、ちょっと面白かったからさ」
彼はそう言って、忍坂姫に詫びるようして謝ってきた。
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