第76話

流石はお色気の師匠。



全てお見通でいらっしゃるご様子。



「さぁ、間宮。いい加減、あの日は先輩と何回ヤッたのか吐け」



天野はずっと聞きたかった本題をやっと切り出し、



「あ。それ、私も聞きたーい。あの不能くんが、美紅ちゃん相手だとどこまで頑張れるのか」



川上も一緒に悪ノリしてくる。



「えっ……」



それは正直に答えてもいいものなのかどうか、美紅が困惑していると、



「美紅ちゃん、初めて会った時よりも随分と大きくなったわよね?」



突然、美紅の背中側から腕を回した川上が、後ろから抱き締めるようにして美紅の胸を揉み始めた。



「わぁ!?」



「成長期だから? それとも、市川くんに随分と揉まれてるのかしら?」



「ちょっ……川上先輩!」



美紅が、あまり強く抵抗出来ないながらも、それでも必死に抵抗の意思を示した時、



「川上。美紅から離れろ」



少し低めの、耳に心地よく響く美紅の大好きな声が聞こえて、



「あらぁ。いつからいたの? ストーカーさん」



川上が声のした方――美紅たちの席のすぐ後ろにある席を振り返った。



いつから来店していたのか、そこには私服姿の右京が席から立ち上がり、険しい表情でこちらを睨んでいて。

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