第60話

「ほら。美紅の方が可愛い」



右京はニヤリと微笑むと、ソファーの上で美紅をそっと押し倒し、噛み付くようなキスを浴びせた。



その間ももちろん、彼女の胸元に触れている手は休めない。



二人のすぐ傍ではテレビが点いたままのはずなのに、その音や声は美紅の耳には全く入ってこなくなっていて。



「……んんっ!」



体の奥が熱く疼くような感覚に、美紅がぴったりと閉じた膝をもぞもぞと動かした。



「下も、触って欲しい?」



「!」



美紅が真っ赤に染まった顔を慌てて右京から背けたが、



「可愛いなぁ」



嬉しそうに微笑んだ右京が、彼女の体をひょいっとお姫様抱っこする。



「やっ……私、重いよ!?」



美紅は慌てて抵抗したが、



「大丈夫。絶対に落とさないから」



右京はそのまま、二階にある自室へと美紅を強制連行。



彼女をベッドの上にそっと寝かせて、



「もうゴムもないし、昨日の今日で辛いだろうから、今日はもう抱いたりしないけど」



意地悪そうな、妖艶な笑みを浮かべた右京が彼女の上に覆い被さる。



「美紅のことは、このまま放置なんてしないからな」



「まっ、待って、右京くん! ……あぁっ……!」



右京は宣言通り、美紅の熱く火照った体を丁重に可愛がったのだが……



(右京くんと一緒がいいのに……!)



そんな美紅の願いは、この日は彼には届かなかった。

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