14 もどかしさ

第77話

綾子は帰宅してから少し悩んだ。素直にカミングアウトすれば良かったのではないのか。過去をぼかすならもっとドラマチックな話でも良かったのではないのか。


 頭脳戦さながらの駆け引き、女同志の殴り合いの喧嘩、どろどろとした嫉妬、美しい性愛。


 支援団体に集まる女性達は豊富な経験を語っていた。綾子は黙って聴いていた。彼女達は綾子に、

「勇気出してみれば良いよ」

「別に恋愛しなくても死にはしないよ」

 煽ったり逆になだめたりした。


 ゲイの発展場が知られているが、レズビアンの発展場は知られていない。性交を好むレズビアンはいるにはいるが、彼女達はやたら滅多に乱交しない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る