第50話

綾子はスタッフからも白い空からもNoisy Windからも質問を受けた。綾子は日本語で気まずそうに答える。日本語と韓国語の両方が出来る者が皆に通訳する。


 職場環境や対人関係や労働時間や仕事量など。トラックの種類も話した。


 蕗江が綾子に、

「緊張するのは分かるけれど、申し訳ないと思わない方が良いですよ」

 鈴音は短く笑い、

「Noisy Windと直接会話しているから無理ないよ」

 桔梗が、

「私達はまだ20代の未熟者です」

 夏野が肩をすくめながら、

「その若さが武器になるんだよねぇ」

 と、軽口を叩いた。スタッフ達が苦笑いする。


 一時間ほど談笑すると、何となくお開きになった。綾子は不器用な韓国語で、

「誘ってくれてありがとうございました。私の分の会計はいくらですか?」

 マネージャーは、

「お支払は要りません」

「え?」

 綾子が驚くと、桔梗が、

「トラックの話が出来たから私達がおごります」

 綾子が何か言う前に、

「皆がそう言ってるので気になさらずに」

 スタッフの一人が言った。綾子は韓国語で、

「ありがとうございます。ごちそうさまでした」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る