Ground World Online ~世界に轟く吸血鬼の怨嗟~

半目真鱈

第一部 虚構の始まり

第一章 レッサーゾンビ生誕編

第0話 プロローグ

Grand World Online


彗星の如くに突如ゲーム業界に現れた新星ナベルタゲームスによって作られた。これまでの常識と法則を壊しうるゲームと言う謳い文句が公式から発表されていて、その圧倒的自由度に加え第2の現実とも言われるほどのゲームらしいそれが、今日の13時からサービス開始されるらしい


「ようお前も楽しみのか?サービス開始」


そう声を掛けてきたのは、今回この家の私と同じくゲームの抽選に合った幸運な兄の浅野忠の姿だった。


「うん今日の13時からだよね?それにお兄も楽しみなんでしょ?朝からボーっとしてたよ」


お兄と私と言うこの家で2人も当てたのには理由があって、それは圧倒的に初期生産台数が多いいからと言う理由があった。それは結構昔のPS5と言う今ではもうあんまり見ない2D型のゲーム機があったんだけど、それの初期生産台数が約500万~600万台らしく、それとは比べるまでも無く圧倒的な数の約5000万台と言うとんでもない数が世に産み落とされたのだ。


そんなにも多く産み落とされたのなら私の周囲でもチラホラ手に入れたと聞いて、それでもしかしたらゲーム内で合うかもなぁとか考えながらお兄の言葉を待っていた。


「おう…でも仕方ねぇだろ?なんせこれまでの常識を変えるだぜ?俺の知り合いのβテスター曰く世界が変わったって言うから俺もプレイできるのを心待ちにしていたんだよ悪いか?」


「いやぁ何時も冷静でカッコつけのお兄がそんなにはしゃいでいるのが面白いなって思っただけだよ。

私知ってるんだからね。冷淡の君主サマ」


冷淡の君主とは前にお兄と私が嵌っていたオンライン型戦略シュミレーションゲームので話で、そのゲームでは裏切り隷属なんでも可の戦略ゲームでは一目置かれるらしいが、そこでお兄は裏切りを許さず相互に監視させて、裏切りの報告が在ったらそいつの背後関係を炙り出して、真実だったらそのプレイヤーが持っている資材や拠点にNPC等の全てを破棄して、再起不可能にまで追い詰めたという伝説のトッププレイヤーだった頃の話で、今も私にとってはからかいのネタなのだ。


「もぉ~そのネタ、それいい加減止めろよ何時まで擦るんだよ」


「まぁ良いけどそれじゃあお互いゲーム内では殆どソロプレイと言う事で良いよね?」


「まぁなお前はゲームの中でも陰キャだもんなぁ孤高魔王サマ」


ヤラレタ…その異名はさっきの戦略ゲームの話で、お兄が数々のプレイヤーを率いて不動の地位を築いている頃に私はゲーム内でも殆ど見なくて、と言うか一人もいなかったソロプレイをしていたのだ。まぁ理由は他人にペースを崩されたくなかったってのもあるけど、そのゲームを始めて最初に同盟を組んだ相手が、裏切り野郎で拠点や素材NPCに至るまで全てを絞りつくされた過去があって、それ以来そのゲームではNPCを操って細々とやっていたが、普通に飽きて止めたのだが、一人も居ない完全ソロ君主と言う事で、孤高魔王と言うのが有名になったのだ。


「それだけはヤメて」


「おう悪い悪い俺の様な軽いノリで言うんじゃ無かったなスマン」


私がそう言うとお兄は直ぐに頭を下げてきた。こう言う所がお兄の良いところだ。こんな雰囲気は私にとっても嬉しい事だった。まぁそのトラウマはもう完全に癒えてるからお兄悪いことしたな...。


「良いよ私も昔の事は引き摺って無いしそれにあともうすぐだし、私早くゲームしたいからじゃあね」



<浅野忠>

「まぁ楽しそうなら良いか」


俺は妹の浅野璃子が行った部屋の方を見ながらあのゲームの事を思い出していた。


確かあのゲームは最初に俺が嵌って面白いからってアイツに進めたんだよなぁそれであいつは暫く一人で頑張って、それである程度土台を固められて、当時まだ初心者だったプレイヤーと同盟を組んで細々とやっていったんだったか?それでそれまでは平原と言う広大で草木も鉱石もたんまりあるが、あらゆる機能や発展が抑えられる初心者ゾーンから脱出しようとそのプレイヤーと決意していざ進出と思った矢先に、裏切られてアイツは拠点も素材もそのゲームで一から作ったプレイヤーによっては、我が子とも言えるNPCを全て奪われた。


そう言う過去があってアイツはあのゲームでそのプレイヤーを見返すために誰の力も借りずにNPCを操るだけで、俺が率いる連中以外の全てのトップランカーが長い間争った世界戦争と言う事件が起こって、ランカーたちが軒並み弱体化してその時の一瞬ランキングに入ったと言う伝説を作ったのだ。


「そもそもただソロプレイしてただけならそんな称号は付かねぇよ」


そうアイツがその孤高魔王と呼ばれたのはなにもランキングに載ったからでもNPCの扱いが上手かった訳でも無い、NPCの扱いでもアイツは下手な方だしそもそも配下を使うと言う事を面倒くさがる性質だ。それでもランキングに名を乗せて孤高魔王と呼ばれたのはその迫力故だった。


「あの時は怖かったなぁ何せ弱体化したランカーたちの全ての資材を奪って戦力拡充して、それで略奪して拡充して、そんなんだから魔王なんて呼ばれるんだよ」


それからアイツはその魔王の称号を気に入った。だが現実世界で…こんな弱い世界で弱い自分に言われるのは好かんと言い放ったのだ。


「本当何であんな妹になるかなぁ?」



<浅野璃子>

本当にお兄は失礼だと思っていた。何せ現実世界でからかい半分で魔王とか呼ばれても嬉しくない私はゲームの様な私が強くなった世界で、その称号を手に入れたいのだ。


「このゲームは楽しめるかな?」


そんな事を考えながら私は今の時刻を確認して、12時50分と言う事が分かると、その勢いのまま水分補給やトイレに加えて機材の確認に、座る椅子の調整とかの雑事を終えて、漸く待ちに待ったゲームの世界へ足を踏み入れる事が出来るとワクワクしていた。



あとがき

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