第88話

「もしかして、ヒオコの事を軽蔑してるの?」

 ミサオが小声で尋ねると、チヒロは、

「違います。ヒオコさんの夫を軽蔑してるんです」

 ミサオが大きく瞬きをして、

「どうして?ヒオコを大事にしてるよ」

 チヒロは目をそばめて、

「本当に優しければ結婚を待つし、18歳で妊娠・出産を経験させません」

 ミサオは憐れんだ顔つきでチヒロを見つめた。チヒロは母親になる大変さも、妊娠・出産の危うさも十分に知っている。女の幸せだと微塵にも思っていないようだ。

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