第64話

夢京に戻ったチヒロはどこか上の空であった。そこそこ学校で勉強して、そこそこ緑湖みどりこの人達と付き合う。が、どことなく暗い。


 ヒロミがそれとなく訊くと、

「カヅコちゃんに魔法を自慢したい。カヅコちゃんは家事も裁縫も出来るからね」


 チヒロが呉暮村で見つけたもの。ヒロミは気付いた。チヒロには今まで友達がいなかった。チヒロには母親と母親の店・緑湖の人達がいれば十分だった。学校では1人でいることを好んでいる。いじめや校内暴力を受けたことはあまりなかった。あったとしても容赦なく魔術で反撃をする。学校の生徒達はそれを分かっているのか、チヒロを無視することもなければ深入りすることもなかった。

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