第62話

カヅコは、

「だったらなんで大人達は気まずそうにしているの。ヒロミおばさんは恐縮していたでしょ」

 イスケとミサオが振り向く。カヅコは続けた、

「結婚せずに子どもを生んだ母親と子どもを悪いと考えるのはおかしい」

 キスケは、

「いや、誰もそこまで言ってないじゃないか」

 イスケは、

「すまないな。カヅコにそんな事を言わせてしまって」

 と言うと宙を睨んで続けた、

「…俺達はヒロミさんを決して軽蔑している訳じゃないんだ。けど今みんなにヒロミさんを語るのは難しい」

 ミサオが低い声で、

「人の心を土足で上がり込むようなことはしちゃいけない」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る