第52話

むしろカヅコの方が女性らしい服装だ。古着だが、藍色の太い帯に紺色と茶色の花柄の着物。


「じゃあ、生地はお母様に買ってもらって、自分で着物を裁縫してみれば良いんじゃない」

 カヅコが提案すると、チヒロは首を傾げて、

「何故、自分で服を作るの?」

 カヅコは驚いて一回、

「え?買うと高いでしょ。お母様が全部服を買ってくれるの?」

 チヒロは、

「まあね。店の常連客のお下がりもあるけどね」

 カヅコにとっては服は買うものではなくて生地から裁縫するもの。カヅコだけではなく、呉暮村の者達はたいがいそう考えている。


 カヅコは息を飲んだ。

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