第70話
「それにここには用があって通うって言ったでしょ?だから平日は毎日ここに来るよ」
そういうと雅人さんはもっと苦渋の表情を見せた。
「そんな顔しないでよ」
クスっと笑うと、雅人さんは情けなさそうにする。
「ミサキが会いに来るのは9階の住人?」
「詮索はしない約束よ」
「ん、それはわかってる。でも、さ、毎日あのミサキがわざわざ会いに来るなんて…そんな事があるのかと思うとね」
「色々あるんだよね、私もさ、じゃあそろそろ行くね」
そう言って私が中へ入ろうとするのだけど、それをまるで行かせないとばかりに通そうとしない雅人さん。
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